実家に帰って親のスマホの明細を見たら、毎月の支払いが思ったより高かった。「ほとんど電話とLINEしか使っていないのに」と気になって、格安SIMを勧めてみようかと考える。そんな人は多いのではないでしょうか。
確かに、使い方によっては大きく下げられることがあります。ただ、親世代の乗り換えでは、料金より先に確かめておきたいことがあります。安くなったのに「困っても誰にも聞けない」「電話代が増えた」となっては意味がありません。この記事では、シニアが困りやすい点と、家族が手伝うときの進め方を説明します。

なぜ親世代の乗り換えは失敗しやすいのか
親世代の失敗で多いのは、料金の問題というより、「困ったときの頼り先」がなくなることです。今までは近所のショップに行けば、画面を見ながら教えてもらえました。ところが、安いプランの多くは申し込みも問い合わせもネットが中心です。
国民生活センターも2020年の資料で、格安スマホの会社には対面のサポートをしていないところがあることや、高齢者の相談が増えていることを伝え、契約前にサポートの内容を確認するよう呼びかけています。少し前の資料ですが、確かめるべき点は今も変わりません。
では、具体的に何を確かめればよいのでしょうか。
契約の前に確かめたい5つのこと
1.困ったときに、誰に聞くのか
いちばん先に決めたいのがこれです。近くに相談できる店舗がある会社にするのか、家族が電話やビデオ通話で手伝うのか。会社によって店舗の有無は違います。店舗があっても、内容によっては有料だったり、予約が必要だったりします。実家の近くにあるかどうか、公式サイトの店舗検索で確かめてください。
2.電話をどれくらいかけているか
親世代で見落とされやすいのが通話料です。電話番号を使った通話は多くのプランで30秒22円なので、10分話すと440円かかります。今のプランに通話定額がついていて、そのことに本人が気づいていない場合もあります。
明細で、月に何分くらい電話をかけているかを見てください。病院や役所、親戚へ電話をよくかけているなら、定額のオプションが必要です。そのぶんを足した金額で比べましょう。また、0570で始まるナビダイヤルは、定額の対象外となっていることが多いので注意が必要です。
3.誰の名義で契約するのか
「子どもの名義で契約して、親に使わせればいいのでは」と考えがちですが、会社によって扱いが違います。たとえば楽天モバイルは、契約者本人のみが利用できる案内になっていて、名義が違う場合は変更の手続きが必要です。家族の利用者登録ができる会社もあります。あとで割引が使えなくなることもあるので、誰が使うのかを申し込みの前に確かめてください。
4.キャリアメールを使っているか
親世代は、銀行や病院、親戚とのやりとりに携帯会社のメールアドレスを使っていることがあります。乗り換えると基本的に使えなくなるので、確認が欠かせません。残し方については「格安SIMにするとキャリアメールはどうなる?」で説明しています。
5.電話料金と一緒に払っているものがあるか
アプリの料金や音楽サービスなどを、携帯料金と合算で支払っている場合があります。乗り換えると合算できなくなるので、支払い方法の変更が必要です。本人が覚えていないこともあるので、明細を一緒に見て確かめましょう。
実は「安さ」より先に決めること
ここが親世代の乗り換えでいちばん大事なところです。比較サイトの安い順で選ぶと、月額はたしかに下がります。けれど、スマホに不慣れな人にとっては、「自分で解決できること」も料金の一部です。
たとえば、月に数百円高くても近所に店舗がある会社と、最安でも問い合わせはチャットだけの会社があるとします。本人がスマホの操作に慣れていて、家族もすぐ手伝えるなら、後者でも困りません。けれど、親が遠方にひとりで住んでいて、困るたびに子どもに電話してくるようなら、前者のほうが親子ともに楽かもしれません。
家族が手伝える時間にも限りがあります。月数百円の差で買えるのは、親の安心と、自分の週末の時間です。料金表を見る前に、誰がどこまで面倒を見られるのかを話しておきましょう。
親に合う選び方の目安
使い方と手伝える範囲で、大まかに分けると次のようになります。
- 自分で操作でき、ネットの手続きもできる:オンライン中心のプランで、十分に安くできます。
- 操作は不安だが、家族がすぐ手伝える:家族が申し込みと設定を手伝う前提で、データ容量の少ないプランが候補です。
- 操作が不安で、近くに家族がいない:店舗で相談できる会社を優先します。大手の中の安いプランにするだけでも、下がることがあります。
- 電話をよくかける:通話定額を足した金額で比べます。
年齢で使える特典がある会社もあります。たとえば楽天モバイルの「最強シニアプログラム」は65歳以上が対象で、条件を満たすと毎月ポイントが還元されます。エントリーが必要で、内容も変わることがあるため、公式サイトで確認してください。
データ容量は、実際の使用量を見て決めます。家にWi-Fiがあれば少なくて済むことが多いです。見方は「格安SIMのデータ容量の選び方」を参考にしてください。
家族が手伝うときの進め方
進める順番を間違えると、親が不安になってしまいます。次の順番がおすすめです。
- 本人の気持ちを聞く:「安くなるから」と決めつけず、困っていることや不安なことを先に聞きます。
- 明細を一緒に見る:料金の内訳と通話時間、使っていないオプションを確認します。見方は「スマホ代が高い理由は?」に書いています。
- 今の会社の中で下げられないか見る:いらないオプションを外すだけで、下がる場合があります。
- 乗り換えるなら、家族がそばにいる日に作業する:開通の作業は帰省などのときに合わせると安心です。
- 手順を紙に書いて残す:連絡先、パスワードの保管場所、困ったときの相談先を紙に書いて渡します。
パスワードは、親が自分で管理できる方法にしましょう。家族が勝手に手続きを進めるのではなく、本人が内容を理解して、本人が決めることが大切です。
よくある質問
今のスマホのまま乗り換えられますか?
多くの場合はできますが、古い機種ではSIMロックの解除が必要だったり、乗り換え先の回線に対応していなかったりすることがあります。会社の公式サイトにある動作確認の一覧で確かめてください。
迷惑電話が心配です。
迷惑電話対策のオプションを用意している会社もあります。料金と内容は会社によって違います。電話番号を使う通話が多い人ほど、確認しておくと安心です。
ガラケーを使っている親でも替えられますか?
スマホに替えることが前提になることが多いので、料金だけでなく操作に慣れるまでの支えも考える必要があります。総務省はスマホの使い方の講習会を支援しており、携帯ショップなどで開かれています。近くで受けられるか調べてみてもよいでしょう。
まとめ:料金表の前に、頼り先を決める
親のスマホを格安SIMにするときは、月額より先に、困ったときに誰に聞くのかを決めることが大切です。そのうえで、通話の量、名義、メール、合算の支払いを確かめれば、「安くなったのに困った」という失敗を避けられます。
本人が納得して、手順を紙で手元に残せる形で進めましょう。料金やサービスの内容は変わるので、申し込む前に公式サイトで最新の情報を確認してください。