「格安SIMにすればスマホ代が安くなる」と聞いても、何がどう違うのか分からないままだと、なかなか一歩をふみ出せません。安いのには理由があり、その理由が分かれば、自分に向いているかどうかも判断しやすくなります。
この記事では、格安SIMのしくみを、専門用語をできるだけ使わずに説明します。

格安SIMとは、大手より安い料金で使えるスマホの回線のこと
スマホは、本体の中に入っている「SIM(シム)」で、どの会社の電波を使うかが決まります。格安SIMは、ドコモ・au・ソフトバンクのような大手の通常プランより、月額を安くおさえたSIMのことです。
いま「格安SIM」と呼ばれているものは、大きく2つに分かれます。
- MVNO(エムブイエヌオー):大手の電波の一部を借りて、サービスを提供している会社。NUROモバイル、IIJmio、mineo、日本通信など
- 大手のオンライン専用プランやサブブランド:大手が自分の回線で安く出しているプラン。ahamo、povo、LINEMO、UQモバイル、ワイモバイルなど
このほか、自分で電波の設備をもつ楽天モバイルも、料金の安さから格安SIMの候補として並べられることが多いです。
なぜ安くできるのか
電波の質が悪いから安い、というわけではありません。安くできる理由は、主に次の3つです。
1.お店や人件費を減らしている
大手のショップは全国にあり、たくさんのスタッフがいます。格安SIMの多くは、申し込みも問い合わせもネットが中心なので、そのぶんの費用が料金に上乗せされません。
2.設備を借りている(MVNOの場合)
MVNOは、アンテナなどの設備を自分で建てずに、大手から回線を借りています。設備にかかる大きな費用がないので、料金を低くできます。そのかわり、借りている回線の量には限りがあるため、多くの人が同時に使う時間帯は遅くなることがあります。
3.サービスをしぼっている
家族割、キャリアメール、たくさんのオプションなど、大手にあるサービスの一部をなくし、必要なものだけにしています。

大手キャリアとのちがいを表で見る
| 大手の通常プラン | 格安SIM | |
|---|---|---|
| 月額 | 高め | 安め(小さい容量なら1,000円前後から) |
| 相談 | ショップで対面 | ネット・電話・チャットが中心(お店がある会社も) |
| お昼の通信速度 | 安定しやすい | MVNOは遅くなりやすい |
| キャリアメール | 使える | 使えないことが多い |
| 契約のしばり | 今はほとんどなし | ほとんどなし |
金額の目安として、たとえば NUROモバイルの音声通話つき3GBは月792円(2026年11月時点・税込)です。大手の通常プランで毎月7,000円前後はらっている人なら、差はかなり大きくなります。
例で考えてみましょう:毎月の差は1年でいくら?
毎月7,000円の人が、3,000円のプランに変えたとします。差は月4,000円、1年で48,000円です。2年なら96,000円になります。スマホ代は毎月かかる「固定費」なので、一度見直すと、何もしなくても効果がつづきます。
ただし、通話が多い人は、通話料が増えて差が小さくなることがあります。電話番号での通話は多くのプランで30秒22円なので、5分の電話を月に10回かけると2,200円です。かけ放題などのオプションを足した金額で比べるのが大切です。
格安SIMにする前に知っておきたいこと
- 今のスマホがそのまま使えるか:乗りかえ先の「動作確認端末」の一覧で確かめます。2021年10月以降に発売された端末は、原則としてSIMロックがかかっていません。
- キャリアメールが使えなくなる:〜@docomo.ne.jp などのアドレスを、ネットの会員登録に使っていないか確かめます。有料でアドレスを残せるサービスもあります。
- 電話番号はそのまま使える:MNPという手続きで、番号を変えずに乗りかえられます。
- 設定は自分でする:SIMをさしかえたあと、APN(ネットにつなぐための設定)が必要な場合があります。
不安に思われやすい点は「格安SIMは怖い?」で、ひとつずつ説明しています。

格安SIMが向いている人
- 家や職場にWi-Fiがあり、外ではあまりデータを使わない
- スマホの設定を、説明を見ながら自分でできる
- 通話はLINEなどのアプリが中心
反対に、お店で相談したい人や、お昼に動画をたくさん見る人は、大手のサブブランドやオンライン専用プランのほうが合うことがあります。くわしくは「格安SIMが向いている人・向いていない人」をどうぞ。
よくある質問
Q.格安SIMは電波が悪いのですか?
使っている電波は大手と同じです。ただ、MVNOは借りている回線に限りがあるため、お昼や夕方など混む時間に遅くなりやすいです。電波の届く範囲そのものは、借りている大手と同じです。
Q.契約期間のしばりはありますか?
いまは、ほとんどの会社で契約期間のしばりや解約金はありません。ただし、端末をセットで買った場合の残りの支払いなどは確かめてください。
Q.どこで申し込めばいいですか?
多くはネットで申し込めます。選び方は「格安SIMの選び方とおすすめ5社」、手続きの流れは「格安SIMへの乗り換え手順」にまとめています。
格安SIMでよく出てくる言葉
格安SIMを調べると、聞きなれない言葉がたくさん出てきます。よく出てくるものだけ、かんたんに説明しておきます。
- MNO(エムエヌオー):自分で電波の設備をもつ会社。ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル。
- MVNO(エムブイエヌオー):MNOから回線を借りてサービスをする会社。
- サブブランド:大手が別の名前で出している安いブランド。UQモバイル(au)、ワイモバイル(ソフトバンク)など。
- オンライン専用プラン:申し込みやサポートをネットに限ることで安くしたプラン。ahamo、povo、LINEMOなど。
- MNP:電話番号を変えずに会社を乗りかえる手続き。
- APN設定:スマホをその会社のネットにつなぐための設定。
- eSIM:カードをささずに、スマホの中にデータとして入れるSIM。
- 音声SIMとデータSIM:電話番号で通話できるのが音声SIM、ネットだけ使えるのがデータSIM。
このうち、まず覚えておきたいのは「MVNO」と「オンライン専用プラン」のちがいです。どちらも「格安」と呼ばれますが、混む時間の速さや、サポートのしかたがちがいます。
「安い」と「安心」のバランスで、3つに分けて考える
格安SIMの候補は、大きく3つのグループに分けると選びやすくなります。
- とにかく安さ重視:MVNO。小さい容量なら月1,000円を切るプランもあります。混む時間は遅くなりやすいです。
- 安さと安定のバランス:大手のオンライン専用プラン。月額はMVNOより少し上ですが、混む時間でも安定しやすいです。
- お店で相談したい:サブブランドや、お店のある会社。月額はやや高めですが、困ったときに相談できます。
自分がどれを一番大事にしたいかを先に決めておくと、たくさんある会社の中から候補をすぐにしぼれます。
まとめ
- 格安SIMは、お店や設備の費用をおさえることで、料金を安くしている
- 大手の電波を使っているので、届く範囲は同じ。MVNOは混む時間に遅くなりやすい
- 乗りかえる前に、端末の対応、キャリアメール、通話の量を確かめる
しくみが分かれば、「安いから不安」という気持ちは少し小さくなるはずです。まずは今のスマホ代の明細を見て、何にいくらかかっているかを確かめるところから始めてみてください。