格安SIMに乗り換えようと決めたあとで、ふと手が止まることがあります。「このメールアドレス、ネット通販にも銀行にも学校の連絡にも登録してあるけれど、どうなるのだろう」。長年使ってきたアドレスほど、どこに登録したのか自分でも思い出せないものです。
結論から言うと、ドコモ・au・ソフトバンクのメールアドレスは、解約すると基本的に使えなくなります。ただし月330円で残せるサービスがあり、残すか移行するかを選べます。この記事では、残すときの期限と注意点、残さずに移行するときの手順を順番に説明します。内容は2026年11月2日に各社の公式サイトで確かめたものです。

乗り換えるとキャリアメールはどうなるのか
「@docomo.ne.jp」「@au.com」「@ezweb.ne.jp」「@softbank.ne.jp」のようなアドレスを、キャリアメールと呼びます。これは携帯会社の回線契約についてくるものなので、回線を解約すると一緒に使えなくなるのが基本です。電話番号はそのまま持っていけるのに、メールアドレスは自動ではついてきません。ここを勘違いしている人が少なくありません。
電話番号を引き継ぐ手続きと、メールアドレスを残す手続きは別のものです。番号を引き継ぐ手順は「MNPのやり方」で書いているので、ここではメールに絞って話を進めます。
では、アドレスを残すにはどうすればよいのでしょうか。
月330円で残せる「持ち運び」サービス
3社とも、解約後もアドレスを使い続けられる有料サービスを用意しています。金額はどれも1アドレスあたり月額330円(税込)ですが、細かい条件が少しずつ違います。
ドコモメール持ち運び
- 月額330円。初回に限り、申し込みから31日間は無料です。
- 申し込みはドコモ回線の解約日から31日以内です。解約日を1日目として数えます。
- 解約前に申し込んでおくこともできます。
- 解約後に申し込むときは、解約前に使っていたdアカウントでログインします。
auメール持ち運び
- 月額330円。申し込みの翌月1日から料金がかかります。
- 申し込みは、au解約日の翌日から31日以内です。
- 月の途中でやめても1か月分の料金がかかります。
- 解約してから申し込みが終わるまでの間に送られたメールは受信できません。
ソフトバンク メールアドレス持ち運び
- 月額330円、または年額3,300円です。支払いはクレジットカードのみです。
- 申し込みは回線の解約後31日以内で、ウェブのほかソフトバンク・ワイモバイルの取扱店でも受け付けています。
- 新しい回線の開通と同じ日に乗り換えや解約をすると、申し込みができない場合があると案内されています。
どの会社も、31日を過ぎると申し込めません。乗り換えの手続きで忙しくしているうちに過ぎてしまうのがいちばんもったいない失敗なので、残すと決めたら開通した週のうちに手続きしてください。
実は大事なのは「残すかどうか」より「何に使っているか」
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。月330円は小さく見えますが、1年で3,960円、5年で19,800円になります。格安SIMに替えて通信費を下げたのに、メールのためだけに払い続けるのは、もったいない場合があります。
一方で、無理にアドレスをやめて、銀行や保険の連絡が届かなくなるのも困ります。そこで大事なのが、そのアドレスで届いているメールの中身を見ることです。実際に見てみると、次の3種類に分かれることが多いはずです。
- A:なくなると困るもの(銀行、証券、保険、クレジットカード、役所、学校、勤務先)
- B:ログインに使っているもの(ネット通販、各種の会員サイト、アプリ)
- C:なくても困らないもの(メルマガ、広告、もう使っていないサービス)
Cしかなければ、残す必要はありません。AとBが数えられる程度なら、移行で片づきます。それでも「高齢の親戚がこのアドレスにしか送ってこない」「仕事の取引先に長年知らせている」といった事情があれば、1年だけ残して、その間に少しずつ切り替える方法もあります。
つまり、持ち運びは「ずっと払うもの」ではなく、移行が終わるまでの時間を買うものと考えると、判断しやすくなります。
残さないときの移行手順
アドレスを残さないと決めたら、解約する前に次の順番で進めます。解約してからでは、確認のメールが受け取れなくなるからです。
1.新しいアドレスを用意する
GmailやiCloudメールなどの無料メールを使えば、携帯会社を替えても同じアドレスを使い続けられます。次に乗り換えるときに同じ悩みを繰り返さなくて済むのが、いちばんの利点です。
2.届いているメールから登録先を洗い出す
受信箱を1年分ほどさかのぼって、送り主を紙に書き出します。「よくわからないけれど毎月届く」ものも、とりあえず書いておきます。パスワード管理アプリやブラウザに保存したログイン情報の一覧を見ると、忘れていた登録先が見つかることもあります。
3.大事なものから変更する
銀行、カード、保険、役所、学校、勤務先の順に変更します。ネット通販や会員サイトは、そのあとです。変更が終わったものには紙に印をつけていくと、どこまで終わったかが分かります。
4.残しておきたいメールを保存する
解約するとメールを見られなくなるので、大切なメールや写真は、スマホやパソコンに保存しておきます。保存の方法は会社によって違うため、各社のサポートページを確認してください。
5.家族や知人に知らせる
個人的なやりとりがある相手には、新しいアドレスを知らせます。最近はメールよりLINEで連絡を取ることが多いかもしれませんが、年配の親戚など、メールだけでつながっている人を忘れないようにしましょう。
乗り換えのどのタイミングで手続きするか
移行も持ち運びも、順番を間違えるとメールが受け取れない期間が生まれます。おすすめの流れは次のとおりです。
- 乗り換えを決めたら、登録先の洗い出しを始める
- 残すか移行するかを決める
- 移行するものは、今の回線が使えるうちに変更を終える
- 格安SIMに乗り換える
- 残す場合は、解約後31日以内に申し込む(解約前に申し込める会社もあります)
乗り換え全体の流れは「格安SIMへの乗り換え手順」にまとめています。メールの洗い出しは、手順の最初に入れておくと安心です。
よくある質問
格安SIMの会社でメールアドレスはもらえますか?
独自のメールアドレスを提供している会社もありますが、有料だったり、提供がなかったりと、会社によって違います。また、その会社をやめれば同じ問題がまた起こります。これから作るなら、携帯会社に関係のない無料メールのほうが、長く使えます。
持ち運びを申し込んだあとで、やめることはできますか?
できます。ただし、やめたあとはアドレスが使えなくなり、メールのデータも消える場合があります。やめる前に、必要なメールを保存して、登録先の変更が終わっているかを確認してください。
同じ会社のオンラインプランに変える場合はどうなりますか?
同じ会社の中のプラン変更でも、メールの扱いが変わることがあります。たとえばドコモからahamoへ変更する場合、ドコモメール持ち運びはプラン変更と同時でないと受け付けないと案内されています。プランを変える前に確認してください。
SMSはどうなりますか?
SMS(ショートメッセージ)は電話番号でやりとりするので、番号を引き継げば使い続けられます。ただし、音声通話のないデータ専用のプランでは、SMSが使えないものがあります。本人確認でSMSを使うサービスが多いので、プランを選ぶときに確かめてください。
まとめ:メールの中身を見てから決める
キャリアメールは、乗り換えると基本的に使えなくなります。残したい場合は、3社とも月330円の持ち運びサービスがあり、解約後31日以内に申し込む必要があります。
大切なのは、すぐに残すかやめるかを決めることではなく、そのアドレスに何が届いているかを見ることです。困るものが少なければ移行で片づきますし、多ければ持ち運びで時間を買いながら少しずつ切り替えられます。料金や条件は変わることがあるので、手続きの前には各社の公式サイトで最新の内容を確認してください。